この記事は、5Gにおけるフレームやスロットといった物理層の基礎的な部分をまとめたメモです。
筆者の勘違い等が含まれている可能性もありますので、あいまいな点はぜひ原典を調査願います。
(2023/08/10 10:30 追記)
5Gのリソースブロックについて、時間領域は曖昧であると記載しましたが、
正しくは周波数領域のみで定義されます。LTEでは2次元の格子として表わされていたリソースブロックですが、5Gでは1次元となります。
原典:TS38.211 Physical channels and modulation
https://www.etsi.org/deliver/etsi_ts/138200_138299/138211/16.02.00_60/ts_138211v160200p.pdf
フレーム構造
TCP/IPでいうパケットの構造みたいな基礎の部分です。
粒度が荒い順から、フレーム、サブフレーム、スロット、シンボルとなります。
ここで覚えておきたいのが、
フレーム:10ms
サブフレーム:1ms (→サブフレーム×10=1フレーム)
は常に固定で不変であることです。これに対し、サブフレーム配下は若干複雑です。
OFDMで用いられるサブキャリア間隔(SCS)の値により、スロットの個数・長さ及びシンボルの長さが変化します(ただし、1スロット=14シンボルは不変なので注意)
例えば、上図はいわゆる現在のSub6帯の5Gで主に使われている、SCS:30kHzの場合を表しています。このとき、1スロット長は0.5msとなるため、1サブフレームには計2スロットが含まれます。従って、1フレーム当たりのスロット数は20スロットとなります。
LTEではSCSは15kHz固定でしたが、5Gではこのように変化するため、注意が必要です。
ただし、スロット数が増える=シンボル数が増えたとしても、フレーム長は10msで不変であるため、スロット数が増えれば増えるほどシンボル長が短くなり、より低遅延になることが期待されています。
若干話が変わりますが、ローカル5Gでよくいわれる準同期は、上記のSCS:30kHzで20スロットが1フレームの場合に、各スロットのUL/DL割り当てを、全国MNOと異なるパターンにし、ULを多めにしようという試みのことを指しています。
リソースブロック
フレーム構造のほか、無線リソースを割り当てる単位としてよく使われるのがリソースブロックという単位です。
リソースブロック自体は、『12個の連続するサブキャリア(周波数)』で構成されます。
私も当初勘違いしていたのですが、LTEでは12個の連続するサブキャリア(周波数)×7個のOFDMシンボル(時間)の84格子をリソースブロックとしていたのですが、5Gにおいては時間領域は定義されず、周波数領域のみの単位となりました。
この周波数 - 時間を格子状のグラフにしたものが、下図(SCS:30kHZの場合)でリソースグリッドと呼ばれます。
上記の赤い部分1列がリソースブロックと呼ばれ、リソースエレメント(格子1個)から構成されます。
また、縦軸の周波数については、実際は帯域幅(例えば、sub6だと100MHzなど)近くまで伸びています。360kHzでひとつのリソースブロックが帯域幅までぎっしり埋め尽くされてるようなイメージです。
実際に帯域幅:100MHzでSCS:30kHzの場合の最大RB数はガードバンド等も考慮し、273と規定されています。したがって、下記のように赤い部分のリソースブロックが273個縦に並んでいると考えられます。
(実際は明示した赤い部分以外もすべてリソースブロックが詰まってます)
SS/PBCH block (SSB)
以降、なじみの深いローカル5Gで用いられる下記周波数構成を前提に見ていきます。
周波数 | 4.7GHz |
帯域幅 | 100MHz |
サブキャリア間隔(SCS) | 30kHZ |
RB最大数 | 273 |
1フレームあたりスロット数 | 20 |
1フレームあたりのシンボル数 | 280 |
上記をもとに1フレーム(10サブフレーム=20スロット)のリソースグリッドを描いたのが数です。
縦軸をサブキャリア数からリソースブロック数に置き換えました。縦軸をサブキャリア数にするには×12すればよいので、その場合は273×12=3276個のサブキャリアとなります。
本題のSS/PBCHブロックですが、これはSSBと呼ばれることも多く、いわゆる同期信号・報知情報となります。
- PSS/SSS:端末がセルサーチやRSRP(電界強度)測定のために用いる同期信号
- PBCH:MIBという基地局情報を含み、端末が基地局に接続するためのさらに詳細な情報であるSIBを取得するためのパラメータを含む
※正確にはPBCH-DMRSという、PBCHを復調する際に用いる参照信号もSSBに含まれています
SSBはリソースグリッド上のどこにおいても良く、中心数周波数付近に置かれたり、
特に決まりはありません。ただし、1フレームや1スロットに送ることのできる回数が規定されており、そもそも20RB分の帯域を占有してしまうので注意が必要です。