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TR38.821 Solutions for NR to support NTNを読む (8.4章 Transport)

この記事は、TR38.821 Solutions for NR to support NTN(v16.1.0)の

8.4 Transport aspects について筆者なりの解釈を記載したものです。

前回の8.3章を読んでからのほうがわかりやすいかもしれません。

TR38.821 Solutions for NR to support NTNを読む (8.3章 Mobility) - omusubi techblog

※文中の赤文字は筆者コメントであり、正しい解釈とは限りません。

8.4 Transport aspects

とりあえず構成図。ISL、SRI、NTN-GWが今回の着目点

NTNに関わるトランスポートNWについて考察する。

透過型の場合:NTN-GWは一つ以上の衛星とSRIを介して接続する。

再生中継型の場合:NTN-GWは一つ以上の衛星とSRIを介して接続する、もしくは一つ以上の衛星とISLを介して間接的に接続する。したがって、NGプロトコルはSRIもしくはISLで伝送されることもある。


衛星はトランスポートNWのルーティング機能を持つこともできるが、これは3GPP RANのスコープ外となる。

 

SRIは3GPP-RANのプロコトル、すなわちNGインタフェース信号を伝送する。

※F1プロトコルも伝送できそうだけど、NGのみ言及?

ISLは下記を伝送可能。

  • Xnインタフェース信号
  • データパケット
  • NGインタフェース信号
  • F1インタフェース信号

※SRIでも上記は伝送可能と思われるのであえて分けた理由が謎

 

SRI上での転送は、以下の制約を受ける場合がある。

  1. 地球上の輸送リンクに比べて伝搬遅延が長い 。地球-衛星リンクの典型的な長さは、数千km(LEOシナリオ)から数万km(GEO シナリオ)である。したがって、SRI上の片道遅延は、6 ms(LEO、600 km、高度10°)から136 ms(GEO、35,788 km、高度10°)までとなる。
  2. SRI がミリ波で動作する場合、地上伝送リンクに比べて断となる可能性が高くなる。ミリ波は伝搬障害(例:雨による減衰)の影響を大きく受けます。しかし、これはUplinkPowerControl、適応符号化変調方式、スペース・ダイバーシティ方式によって緩和されます。通常、フィーダーリンクは、サイトダイバーシティで最大99.999%の可用性を実現するように設計されている。
  3. SRIが利用できなくなる可能性がある
    a. SRIがミリ波で動作する場合、大気による減衰のため
    b. LEO衛星の場合、衛星が地平線の下に消えたとき

したがって、シームレスなサービス継続と中断時間 0ms を確保するために、モビリティ管理が通常行われる。

 

透過型の場合

  • GEOまたはLEO衛星は、ある時点では、複数のNTN-GWに接続することができる。各NTN-GWは、衛星の異なる無線リソースに対応する。
  • フィーダリンクの切替は、2 つの異なる無線リソースを同時に使用して行うことができ、パケットロスの少ない切替を実現する。この手順はネットワーク起因のものである。

再生型の場合

  • LEO衛星は、フィーダリンクの切替時を除き、一度に1台のNTN-GWにしか接続できないため、Make Before Break方式によるシームレスなサービス継続が可能
    ※なぜLEO衛星は1台のみ?要調査
  • フィーダリンクの切替損失が少ない切り替えを実施するために、make before break 戦略に基づく。これは、レイヤー 3 以下の NG-RAN 手順では UE に対して透過的である。この手順は、ネットワーク起因のものである。 

LEO の場合、ISL の片方向伝搬遅延は、コンステレーションに依存する
コンステレーション=複数の衛星の配置的なイメージ

(10ms 程度の値が一般的と考えられる)
LEO衛星の衛星間通信は、一般的に99.999%の可用性を持つ。

8.4.1.3 Characteristics of NTN GW

透過型の場合

NTN-GWはNR-Uuインタフェースの信号を転送するために必要な全ての機能をサポートする。

再生型の場合

NTN-GWはトランスポートネットワ層のノードであり、例えば、NTN-GWはIPルーターとして機能するなど、必要なトランスポートプロトコルを全てサポートする。

SRIはNTN -GWと衛星の間にIPトランク接続を提供し、それぞれNGまたはF1インタフェースを伝送する

8.4.1.4 Ephemeris

衛星エフェメリス情報(軌道情報)は、NTNベースのNG-RANにおける共通の、遅延やドップラーシフトの変動に対する事前・事後補償と同様に、フィーダーリンク切替発生、モビリティ管理イベント(Idleおよびconnected)、無線リソース管理の予測に使用可能である。


衛星エフェメリス情報は、5GCのモビリティ管理などにも有用な場合がある。


RANと5GCで衛星エフェメリス情報を設定するためのOAM要件があるかもしれない。

エフェメリス情報は、デファクトスタンダードであるTLE(Two-Line 
Element)フォーマットを用いて、ASCIIファイルで表現可能。

2行軌道要素形式 - Wikipedia

 

8.4.2 Transporting F1 over the SRI 

CUが地上の図

TS38.401(NG-RAN;Architecture description)の定義によると、CUはRRC,SDAP,PDCPプロトコルを管理し、DUはRLC,MAC,PHYレイヤーを管理する、CUは1つ以上のDUを運用可能である。

F1(CU-DU間のインタフェース)がSRI上で伝送される場合、上記の機能は8.4.1.1 Characteristics of SRI on the feeder link で述べたSRIの特徴による制約を受ける可能性がある。

長い伝搬遅延は、実装次第ではあるが適切なタイマ設定を施すことで、NTNユースケースによる様々なプロトコル運用が、阻害されないようにできるかもしれない。

※伝搬遅延大きいけど、タイマのチューニングすればいけるっしょ的な

 

また、RRCをCUが終端するという事実が大きな課題になり得る。

CUが地上にある場合、UEとCU間の単一のRRCメッセージの往復時間は、地球と衛星のリンクの2倍に相当する(RRCメッセージはNR-Uuを経由し、F1上を伝送されてSRIを通過する)。現在の NR RRC がこのような制約に耐えられるかどうかに関係なく、gNB-DUが衛星に搭載されるアーキテクチャは、RRCレイテンシという観点で他より不利となる可能性がある。

※RRCの確立・開放みたいなRACH手順にすげー時間かかるよ的な

 

回線断可能性の影響は、ミリ波周波数帯の地球-衛星リンクの典型的な最大断時間と、CU が UE を見失ったと判断し、コンテキスト削除を開始するまでの時間(通常 1 分未満)を比較することで分析可能である。SRIが停止した場合、CUの運用に悪影響が生じる。

 

さらに、CU と UE の間に 2 つの地球-衛星パスが存在するため、SRIの性能にもよるが、断の確率が両方のパスのそれぞれの断確率を合わせたものとなり、gNB-DUが衛星搭載のアーキテクチャは、回線断の点でも他のアーキテクチャと比べて影響が大きい。


SCTPマルチホーミング、またはCUとDU間の複数のSCTPアソシエーションを利用して、同じF1インタフェースを伝送するために複数の地球-衛星リンクを使用すると、遅延が追加になる部分はあるものの、障害またはゲートウェイ切り替えによるSRI使用不可を軽減できる可能性がある。

※ISLで別パスを構成するとか、複数のNTN-GWと接続するとか?

 

地球局が遠くなればなるほど、リンク停止は相関を失い、リンク停止合計確率は減少するが、CUまでの総距離(F1の遅延)は増加し、遅延は増加する。

したがって、リンク停止確率とF1遅延はトレードオフになる。

※地球局から遠くなるほどリンク停止確率が減るのはなぜか・・・見通しがとれるから?GEOが一番OutageProbabilityが低くなる?


8.4.3 Applicability of Xn to NTNs

8.4.3.1 List of Current Xn Functions

TS38.420 Xn general aspects and principles内でサポートされている機能に対する、NTN適用時の制約に関する寄書は、StudyItemの時点ではなかった。

8.4.3.2 Inter-Satellite Xn

両方の衛星gNBが同じAMFに接続されていることを前提に、衛星間XnのUEモビリティ管理は有用であると考えられる。

純粋にアーキテクチャの観点から、NR-DCは(一方の衛星がMasterNode,他方がSecondaryNodeとなる)排除されるものではないが、NR-DCがサポートされると結論づけるには、さらなる分析(例えば、RAN3のスコープ外であるRRC観点)が必要である。

この場合、例えばコンスタレーション再構成の一環として、1つの
衛星が別の衛星にセルのアクティベーション/非アクティベーションを通知することで、省電力的な何らかの恩恵もアーキテクチャの観点から排除されるものではない。

※複数の衛星gNBでのCA/DC的なのも無くはないよね~的な

 

Xn-Uの機能はモビリティとDCに適用されるため、同じように考慮する必要がある

したがって、衛星間Xnは有益であると考えられるが、このようなシナリオでのNR 
DCの実現性を評価するためには、さらなる分析が必要である。
トポロジーの観点からは、衛星間 Xn は ISL 上で直接伝達されるか、SRI を介して伝達される。

8.4.3.3 On-ground NTN-terrestrial Xn 

これは、地上に設置されたgNBと地上gNB間のXnベースのUEモビリティとNR 
DC機能をサポートするもので、両方gNBが同じAMFに接続することが条件とされる。

※透過型もしくはgNB-DUだけ衛星に搭載されている場合


もう一つの特徴は、Xnを介した地球-衛星間セルのアクティブ化/非アクティブ化の通知をサポートすることである。

例えば、地上のgNBは、同じエリアをカバーする衛星に、1つ以上のセルをオフにすることを通知し、衛星は対応するカバーエリアの「引継」を行うことが可能である(その逆も然り)。しかし、これらの機能の利点は評価されていない。

NTNセルでのカバーエリアを、地上gNBにおまかせしたり、されたりもできるらしい。何が嬉しいかわからないので使われなさそうな気もする

 

8.4.3.4 Transporting Xn over SRI

衛星搭載gNBと地上gNBの間の地球-衛星間リンクでのXn伝送はチャレンジングであるが、SRIの性能次第では可能と考えられる。

 

例えば、LEOのシナリオでは、衛星が地平線の下に移動すると、地上gNBへのXnインタフェースはすべて利用できなくなり、関連する地上gNBのアプリケーションプロトコルやSCTPレベルでもその後の処理が引き起こされる。衛星が地平線上に現れると、その逆のことが起こり、地上gNBとXnを確立し始める。

これは、LEO衛星の視認性次第で、C-plane信号の輻輳にも繋がりかねない問題を有する。

さらに、SRIの断にによって、Xnが利用不可となる時間も想定され、これはSRI断のたびに地上局とのC-plane信号が輻輳が発生する問題も有している。

したがって、このXn over SRIの構成については評価されなかった。

※Xnは影響が大きすぎるのであまりSRIというか衛星回線に載せたくない模様